離婚調停が終了後、相当期間が経過した場合にも離婚裁判を提起できるのでしょうか?
本当は明確な答えはありませんが、ずばりいえば、
1年以内ならまず大丈夫
1年半を超えるあたりから微妙
2年を超えると再度の調停が必要なケースが多い
のかなと思います。
前提として、離婚裁判を提起しようとする場合、先に離婚調停を経ている必要があります(家事事件手続法257条)。「裁判の前に調停を置く」という意味で「調停前置主義」と呼ばれています。
どうしてこのような原則が定められているのか?それは、家庭の問題は裁判で争うよりも当事者が話し合って円満に解決した方がよいと考えられているからです。
そこで、協議離婚ができない場合には離婚調停を申し立てることになります。調停がまとまらないと、調停は不成立か取下げによって終了します。ただし、調停が終了しても自動的に裁判に移行するわけではありません。離婚の裁判を開始するには、訴状を裁判所に提出する必要があります。いつ離婚裁判を開始するかは当事者にイニシアティブが与えられているのです。結果、調停が終了してから離婚の裁判を開始するまでの期間は事案ごとに異なります。人によっては事情があって、すぐには裁判ができない場合もあるでしょう。しかし、離婚問題では夫婦が現時点でどのような状態にあるのかが重要です。たとえば、調停時には別居していた夫婦がその後別居を解消することもあり得ます。その場合、婚姻が破綻しているのかどうかは現在の状況を前提に判断しなければなりません。したがって、はじめの調停から相当な期間が経過してしまった場合は改めて調停を行う必要があると考えられています。
では、どの程度の期間が経過したら再度の調停が必要となるのでしょうか。これについては、ケースバイケースで判断されるので明確な答えはありません。あえて言えば、冒頭で述べたとおり、1年以内ならまず大丈夫、1年半を超えるあたりから微妙で、2年を超えると再度の調停が必要なケースが多くなるのではないかと思われます。
ちなみに、調停を前置しないでいきなり離婚訴訟を提起したとしてもペナルティが課せられることはありません。離婚訴訟も当然に却下されるわけではなくて調停に回されることになります(家事事件手続法257条2項)。とはいえ、調停のために費やす労力は相当なものです。精神的にも疲弊するので、できれば1回で済ませたいと思われる方は多いと思います。そうであれば、調停が終了してから1年以内に離婚訴訟を提起することをおすすめします。

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