ご依頼・ご相談別-不起訴にしてほしい

不起訴とは何か

不起訴とは文字通り起訴しないという意味です。不起訴の反対は、起訴です。

では、起訴とは何でしょうか。起訴とは、刑事事件において被疑者を裁判所に訴えることをいいます。犯罪が発生しても、訴えがなければ裁判にかけられることはありません。裁判にかけられることがないということは、裁判所が有罪か無罪かを判断することもないということです。したがって、不起訴の場合は刑罰を科せられることがありません。

このように刑事事件では、起訴か不起訴かは、犯罪者が刑罰を科せられるかどうかの決定的な分かれ道になります。

 

不起訴になる場合の類型

検察官が被疑者を不起訴とするパターンは、①犯罪の不成立、②犯罪の嫌疑がない場合、③訴訟条件を欠く、④刑の免除事由あり、⑤起訴猶予の5つに分けられます。

  1. 犯罪が不成立の場合とは、犯人が刑事未成年(14歳以下)の場合、心神喪失で責任能力がない場合、行為が犯罪の構成要件に該当しない場合、違法性阻却事由(正当防衛、緊急避難)や責任阻却事由がある場合です。
  2. 犯罪の嫌疑がない場合とは、被疑者が犯人かどうか、行為が犯罪かどうかについて認定すべき証拠がないか(嫌疑なし)、不十分な場合(嫌疑不十分)です。
  3. 訴訟条件を欠く場合とは、裁判を行うための条件を欠いている場合です。例えば、公訴時効が完成しているような場合です。
  4. 刑の免除事由がある場合とは、罪が成立していても必ず刑を免除しなければならない場合です。内乱の予備及び陰謀、内乱等幇助について自首した場合等がこれに該当します。
  5. 起訴猶予とは、刑罰を科そうと思えば科せるが刑事政策的な配慮から選択される不起訴の類型です。刑事政策的な配慮とは、刑罰を科すことが犯人の社会復帰に対してどう影響するか、刑罰を科さなくても社会秩序の維持が図れるかという観点に基づく配慮です。

 

上記のうち①~④は、結局のところ刑罰を科すことができないので不起訴とするのは当然でしょう。日本の刑事司法では、起訴された事件の有罪率は99%を超えています。これは、検察官が一部の無罪事案を除いて、①~④に該当するような事件を適切に不起訴としているためでしょう。

弁護活動(情状弁護活動)の内容によって結論が大きく変わり得るのは、⑤起訴猶予の類型です。たとえば、示談が成立するかどうかによって起訴・不起訴が分かれるような事案もあります。

不起訴になる場合の類型

 

不起訴のメリット

前科がつかない

前科とは、罪を犯して刑罰を科せられたことがあることをいいます。不起訴になると裁判にかけられないので罪を犯したかどうか法的に確定しませんし、刑罰も科せられません。前科がつくかどうかは、心情的にも法律的にも大きな違いです。

 

経歴に傷がつかない

就職の際に賞罰について申告するように明確に求められた場合、前科は賞罰のうちの罰として申告の対象になると考えられています。このような場合に罰に該当する事実はないと申告すると経歴詐称として、就職した後で懲戒処分の対象になる可能性があります。また、懲戒処分は免れたとしても、昇進に影響したり、職場の人間関係がギクシャクしたりする可能性もあります。このように、前科がつくことは将来の就業に憂いを残すことになります。したがって、不起訴になることで経歴に傷を付けないことは大きなメリットになると思われます。

 

懲戒処分を免れる

既に会社員として働いている方は、起訴となるか不起訴となるかによって会社から受ける処分の内容が変わってきます。不起訴となった場合は、事情によっては何らの処分を受けないこともありますが、起訴された場合は何らかの処分を受けることになるでしょう。最悪の場合、懲戒解雇となることもあり得ます。

 

資格制限を受けない

前科がつくと、法律上、制限される資格があります。たとえば、医師、薬剤師、柔道整復師、国家公務員、地方公務員、学校の校長・教員、教育委員会の委員、クリーニング師、裁判官、検察官、弁護士、行政書士、公認会計士、建築士、宅地建物取引業者等は、前科がついてから一定期間、資格の制限を受けることになります。

 

社会的信用を守る

逮捕されたことがきっかけで新聞やインターネット、テレビ等で報道されることがあります。これによって逮捕された方の社会的信用は失墜し、家族も社会的に好奇の目にさらされたり、非難されたりすることもあります。このような場合、不起訴となれば不起訴となったことを周囲に説明することができますし、事案によっては新聞社等が不起訴になったことを報道することもあります。こうして、不起訴によって1度は失墜した社会的信用を回復することができることもあります。

また、当初は報道されないまま捜査が進んでいたが起訴されたことがきっかけで報道されてしまうことがあります。このような場合は、不起訴になることで報道されることを未然に防ぐことが可能です。

 

不起訴になるためにやるべきこと

起訴猶予による不起訴を目指す場合

罪を犯したこと自体に争いはないような場合は起訴猶予による不起訴を目指します。起訴猶予になるかどうかには情状が大きく影響します。そこで、検察官が起訴・不起訴の判断を行う前にできるだけ情状をよくしなければなりません。身柄事件の場合、逮捕から勾留満期までの23日間以内に起訴・不起訴が決定されることが多いので、この間に情状弁護に取り組みます。在宅事件の場合でも簡明な事案では1か月程度で起訴・不起訴が決まることもあるので、できるだけ早く情状弁護に取り組むべきでしょう。

情状をよくするために次のようなことに取り組みます。

  • 被疑者と接見して心からの反省を促す
  • 被害者と示談する
  • 被疑者を経済的、精神的に支援できる家族を探す
  • 知人に嘆願書を作成してもらう
  • 住居や仕事を探したりして生活を安定させる
  • 暴力団や共犯者との関係を断ち切らせる
  • 医師、カウンセラー等の専門化の支援を受けられるようにする

 

嫌疑なし・嫌疑不十分による不起訴を目指す場合

罪を犯したこと自体を争う場合には、犯罪の嫌疑がないこと(嫌疑なし・嫌疑不十分)による不起訴を目指します。つまり、無罪・無実の姿勢で臨む場合です。このような場合の対処方法はケースバイケースになります。容易に疑いを晴らせるような場合は積極的に捜査に協力するのも一つの選択肢です。ただし、何をどこまで供述するかは慎重に判断する必要があります。弁明しても疑いを晴らせそうにない場合は黙秘権を行使して一切供述しない方がよいこともあります。アリバイ証拠や第三者の目撃証言などがあれば、証拠化してこちらから積極的に無罪の証拠を提出することも検討します。どういった方針を選択するかは難しい判断が必要なので、弁護人とよく相談して決定するべきでしょう。

 

その他の場合

犯罪の不成立、訴訟条件の欠缺、刑の免除事由が存在する場合は、速やかにそうした事由が存在することを捜査機関に伝えて早期の釈放を求めます。

 

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