離婚手続の知識-調停離婚

1 離婚調停とは

離婚調停とは、家庭裁判所において扱われている家事調停の一つであり、離婚とこれに付随する問題(親権、養育費、財産分与等)について話し合いをするために行われるものです。

実務上は、夫婦関係等調整調停(離婚)と呼ばれているものであり、略して「ふうちょう」などと言われたりすることがあります。

 

2 調停前置主義とは?

離婚の調停を経た後でないと離婚の裁判ができないという法制度を調停前置主義といいます。離婚に関しても調停前置主義が取られているため、離婚の裁判の前に離婚の調停を行う必要があります。

どうしてこのような制度があるかというと、離婚するかどうか、子を誰がどうやって育てていくのか、といった家庭に関する問題は当事者が自主的に解決の道を模索するのが妥当と考えられているからです。

裁判では裁判官が判決で結論を決めるのに対し、調停では当事者が合意により結論を決めるので、調停で解決できるのであればその方が望ましいということです。

 

3 離婚調停はどうやって開始されるか?

離婚調停は、夫婦のいずれか一方が家庭裁判所に対して調停の申立書を提出することで開始されます。

 

4 離婚調停の費用は?

裁判所に納める申立手数料は1200円で、このほか連絡用の郵便切手を納めることになります。

このほか弁護士に依頼する場合には弁護士費用が発生します。

 

5 離婚調停はどこで行われるか?

離婚調停は家庭裁判所が主催する手続であり、当事者は家庭裁判所に出頭して離婚調停の期日に参加します。

家庭裁判所は全国にありますが、通常は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所において行われることになります。夫婦の一方が実家に帰るなどして遠方にいる場合など出向いていくのが大変な場合には電話会議で期日に参加することも可能です。

家庭裁判所の庁舎内にある5~6名程度が対面できるようなテーブルが設置された小さな会議室が調停の場になります。当事者は控え室で順番を待ち、相手方と入れ替わりで調停室へ入室します。

 

6 離婚調停にはどんな人が関与するのか?

離婚調停には次のような人が関与します。

 

(1) 当事者

調停手続においては、申立をした人を申立人、申立をされた人を相手方と呼びます。家庭に関する事件は当事者の自主的な解決を尊重する趣旨から、当事者が期日に出頭することが求められます。

 

(2) 代理人

当事者から依頼を受けた弁護士は調停期日に同席して当事者の主張を代わりに述べたり、期日間に証拠を準備したりします。期日間に面会交流や婚姻費用の支払いについて連絡・調整を行ったりすることもあります。

 

(3) 調停委員会

調停委員会は、裁判官1名、家事調停委員2名(通常は男女のペア)によって組織されます。家事調停員は、民間の中から人格識見の高い年齢40歳~70歳の者が任期2年で任命されており、中には弁護士の資格を有する者も含まれていることがあります。実際の期日では男女1名ずつの家事調停委員が当事者と対面して話を聞き、手続を進行させていきます。調停が成立する時や不成立になる時、又はポイントとなるような話し合いをする際には裁判官も同席することがあります。

 

(4) 裁判所書記官

裁判所書記官は、裁判所の職員であり、家事事件の手続案内、期日の呼び出し、調停記録の管理、調書の作成等を行います。

 

(5) 家庭裁判所調査官

家庭裁判所調査官は、心理学、社会学等の専門知識を有する家庭裁判所の職員です。調査官は、親権や面会交流が争点になっている場合に子の生活状況や意思の確認等を行ったうえで調査報告書を作成したりします。調査報告書は調停の方向性に大きく影響します。

 

7 離婚調停はどうやって進んでいくのか?

(1)調停申立書の受理

 調停の申立書が受理されると、第1回期日が指定され相手方に裁判所から呼出状が送付されます。

 

(2)第1回期日

第1回期日は、申立てから1~2か月のうちに開催されるのが通常です。裁判所に出頭して受け付けを済ましたら、それぞれの待合室で調停委員から呼ばれるのを待つことになります。

調停員から声をかけられて調停室に入り、調停員2名と話をします。交互に調停室に入室して話をしますが、成立や不成立のときには同席で行うこともあります。目安として30分程度で相手方と交替します。

そうして話を進めていって合意の形成を目指します。

検討課題が浮き彫りになったら、次回期日までに書類を準備したり、考えを整理したりするように課題を課されます。

最後に、次回期日を決めて終了です。調停は1か月に1回のペースで開催されるのが通常なので、約1か月後あたりで期日を調整します。

 

(3)第2回期日以降

期日間に起きた変化や確認できた事実、収集できた資料、まとまった考えなどを調停委員に伝えて、改めて合意を模索することになります。そうして何度か調停期日を重ねていくのが通常です。

 

(4)調停の成立

合意ができる状態になると、調停委員と調停条項にどのようなことを盛り込むか確認します。

最後は、裁判官が調停室に来て、調停で合意する事項を当事者に口頭で確認し、調停が成立します。

調停で合意されたことは、裁判所が作成する調停調書に記載されることになります。後日調停調書の交付を受けて合意内容に間違いがないか確認します。

 

(5)調停成立後の手続

調停成立後、一方当事者が調停調書を添付して離婚届を市区町村に提出します。協議離婚と違って、相手の署名・押印は必要ありませんが、調停が成立していることを証明するために調停調書の添付が要求されています。

婚姻によって改姓していた場合、旧姓に戻るので、婚姻時の氏を続称したいときはその届出も行います。

子の戸籍を自分の戸籍に移す場合は、家庭裁判所に対して子の氏の変更許可審判を申し立てる必要があります。

 

8 調停が成立しない場合はどうなるか?

調停成立の見込みがない場合、調停は不成立によって終了します。申立人が自ら取下げをすることでも調停は終了します。

離婚調停が不成立又は取下げで終了したとしても、自動的に離婚裁判に移行することはありません。

離婚裁判を起こしたいのであれば、家庭裁判所に訴状を提出する必要があります。

調停が終了してから1年以内であれば、調停前置主義の要請は充たされていると判断されることが多いと思います。

 

 

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