労使トラブルを未然に防ぐには

1 労使トラブルが経営に及ぼすリスク

労使トラブルが経営に及ぼすリスクとして以下のようなものがあります。

<労使トラブルのリスク>

  1. 訴訟リスク
  2. 合同労組(ユニオン)による団体交渉のリスク
  3. 波及リスク
  4. 行政処分や刑事処分を受けるリスク
  5. レピュテーションリスク

 

訴訟リスク

例えば、使用者が、従業員から残業代未払請求を受けたり、解雇無効確認請求を受けたりした場合など労使トラブルが発生した場合、話し合いで解決できないと、労働審判や労働裁判を申し立てられたりすることになります。

こうした裁判所での手続が開始されると、弁護士費用という経済的負担が発生します。また、反論のために、事情に詳しい役員や従業員に事実確認や資料作成をしてもらったりすることになれば、本業に悪影響が発生しかねません。こうした負担は、数か月から数年にわたり継続することもあります。

したがって、労使トラブルに関わる訴訟リスクを予防することは、重要な経営上の課題の一つです。

 

合同労組(ユニオン)による団体交渉のリスク

従業員は、時として会社の外部に組織されている合同労働組合(ユニオン)に加入して団体交渉を求めてくることがあります。合同労組とは、企業の内部ではなく一定の地域を団結の場として組織されたものであり、中小企業で働く労働者が個人で加盟することができる労働組合です。

使用者には、誠実交渉義務が課せられており、これに違反した場合、団体交渉拒否の不当労働行為と見なされて労働委員会から命令を受けたり、損害賠償請求を受けたりすることがあります。

そのため、使用者は誠実交渉義務を果たすべく団体交渉に応じなければなりませんが、訴訟とは異なる配慮や負担を要求される手続といえます。

 

波及リスク

労使トラブルの多くは、1名の従業員と使用者との間で発生します。

しかし、このトラブルを円滑に処理できない場合、それが他の労働者に波及することがあります。はじめは1件だけだったトラブルが、いつの間にか数件、数十件のトラブルへと波及するということが起こり得ます。

また、一個の労使トラブルが、トラブルに関係のない従業員の気持ちを不安にさせて職場全体のモチベーションを低下させることもあります。

そうなると、経営全体に大きな悪影響を及ぼすことになるので、これを予防することが重要です。

 

行政処分や刑事処分を受けるリスク

労働基準法に違反した場合、労働基準監督署から行政処分を受けたり、刑事責任を問われたりすることがあります。こうした処分が経営に及ぼす損失は、経済的な損失とは別次元のものであり、重大な経営上のリスクといえるでしょう。

 

レピュテーションリスク

労使トラブルは時に企業の評判(レピュテーション)を悪化させることがあります。労使トラブルに端を発して、根も葉もない噂が広まったり、誇張されたり歪められた情報が広まったりすることは、しばしば起こることです。現代では、インターネットを通じて驚くほど早く情報が拡散されることがあり、これがマスコミに取り上げられたりすると企業の存続に関わる重大なリスクとなります。

 

2 労使トラブルの予防のために注意すべきこと

労使トラブルを予防するために次のようなことに注意しましょう。

<労使トラブル予防のための注意点>

  1. 労使トラブルを生み出す土壌を改善する
  2. 労使トラブルの芽を摘み取る
  3. 労使トラブルの伝播を防ぐ
  4. 労使トラブルの根を刈り取る
  5. 職場に新たな花を植えよう

 

労使トラブルを生み出す土壌を改善する

労使トラブルが発生するような職場には、ずっと前から労使トラブルを生み出す土壌が存在しています。就業規則の整備が行き届いていなかったり、サービス残業やパワハラ、セクハラを黙認する風潮があったり、相談窓口が機能していなかったりすれば、それだけ労使トラブルが顕在化するリスクは高まっていきます。労使トラブルを予防するためには、まず、職場に労使トラブルを生み出すような土壌がないか確認して、そうした土壌を改良する必要があります。

 

労使トラブルの芽を摘み取る

使用者からすると労使トラブルはある日突然、発生したように見えることが多いと思います。しかし、労使トラブルの当事者やその周囲の人間にとっては、相当前から労使トラブルの兆しが見えていたということがあります。

たとえば、従業員の勤務態度が悪化したり、仕事を休みがちになったり、体調を崩したり、インターネットで不満を漏らしていたり、同僚や上司に相談していたり、といった兆しが見えることがあります。

このような労使トラブルの兆しが見えたら、臭いものに蓋をするようなことはせずにできるだけ早期に対処するべきです。それによって、何年にもわたる労働紛争に発展する可能性のあったトラブルを、最小限の時間と労力で予防できるかもしれません。

 

労使トラブルの伝播を防ぐ

労使トラブルが発生してしまった場合、そのトラブルを他に波及させないことが重要です。波及リスクのところで述べたように、次々と労使トラブルを招いたり、関係のない従業員の労働環境まで悪化させたりすることがないように、トラブルの拡大を予防することが重要です。

 

労使トラブルの根を刈り取る

そして、当の労使トラブルを適正に処理することが重要です。その場しのぎの対処をすると、何か月か経過してから同じ労使トラブルが蒸し返されることがあります。労使トラブルを完全に解決することは、労使トラブルの再燃を防ぐという意味で労使トラブルの予防になります。

 

職場に新たな花を植えよう

労使トラブルが解決できたら、一連の経験を将来につなげるべきです。やれやれこれで終わりと思ったら成長はありません。労使トラブルから得られた反省と経験を活かして、以前よりもっとよい職場環境にしていきましょう。職場環境の改善は、職場の生産性を向上して企業活動の増進につながります。七転び八起きの精神で労使ともに前を向いて行きたいですね。

 

3 労使トラブルの予防のためには顧問弁護士が有効

以上述べたとおり、労使トラブルには大きな経営上のリスクがあります。その予防のために注意するべき点も述べました。

しかし、労使トラブルとは労働に関する法的紛争のことです。労働法規や紛争解決手続に精通していない使用者が自ら予防策を講じて労使トラブルを未然に回避するには限界があります。

使用者が労使トラブルを本気で予防しようと考えるのであれば、弁護士のような紛争解決に精通した専門化のサポートを受けるべきです。

そして、それに最も適したサポート形態は、顧問弁護士によるサポートであると考えます。

紛争が発生した後で弁護士に依頼したとしても、それはトラブルの事後処理にしかなりません。労使トラブルを予防するには労使トラブルが発生する前に継続的なサポートを受ける必要があります。

労使トラブルの予防のために顧問弁護士の活用を御検討ください。

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