刑罰の種類について

刑罰の種類

刑罰は、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収の7種類が存在します。

死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料は主刑に分類されておりそれ単体で科すことができますが、没収は付加刑に分類されており、主刑とは別に没収だけを言い渡すことができません。

主刑の重さは基本的に、死刑が1番重く、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料の順に軽くなっていきます。

刑罰は、何に対して不利益を科すかによって生命刑、自由刑、財産刑に分類されます。生命刑に分類されるものは死刑、自由刑に分類されるものは懲役、禁錮、拘留、財産刑に分類されるものは罰金、科料、没収です。

単独で科し得るか 制約される権利 刑罰の種類 重さの順序
主刑 生命刑 死刑 1
自由刑 懲役 2
禁錮 3
拘留 5
財産刑 罰金 4
科料 6
付加刑 没収

 

死刑

死刑は絞首の方法で執行されます。法律上、死刑を科し得る罪は、刑法犯12種類、特別刑法犯7種類の合計19種類に限定されています。このうち死刑だけが定められているのは外患誘致罪だけであり、ほかは死刑以外の刑も選択可能です。

死刑が定められている犯罪
刑法犯 内乱罪
外患誘致罪
外患援助罪
現住建造物等放火罪
激発物破裂罪
現住建造物等浸害罪
汽車転覆等致死罪
往来危険罪による汽車転覆等
水道毒物混入致死罪
殺人罪
強盗致死罪
強盗強姦致死罪
特別刑法犯 航空機強取等致死罪
航空機墜落致死罪
爆発物使用罪
人質殺害
組織的殺人
海賊行為致死
決闘致死

 

懲役刑

懲役刑は、刑務所に拘置されたうえ刑務作業を強制される刑罰です。

懲役刑には無期懲役と有期懲役が存在します。無期懲役の刑期は終身(一生涯)であり、有期懲役の刑期は1か月~20年以下(ただし30年以下まで加重されることがある)とされています。

有期懲役には執行猶予の制度があり、これが適用されると刑が執行されないため刑務所に入ることはありません。

実刑になった場合、仮釈放により刑期を終える前に出所できることがあります。

法律上、無期懲役は10年の経過、有期懲役は刑期の3分の1の経過が仮釈放の条件です。ただし、運用上は、無期懲役は平均30年以上、有期懲役は刑期80%の経過を要するのが実情です。

 

禁錮刑

禁錮刑は、刑務所に拘置される刑罰です。

無期禁錮と有期禁錮があり、有期禁錮の刑期は懲役と同じです。執行猶予や仮釈放の制度があるのも懲役と同じです。懲役との違いは、刑務作業を強制されないことです。しかし、受刑者が希望すれば刑務作業を行うことができ、大部分の禁錮受刑者が刑務作業を行っています。自動車運転過失傷害罪で言い渡されることが多い刑罰です。

 

拘留

拘留は、拘留場に1日~29日の範囲で拘置される刑罰です。

禁錮と同じく作業を行う義務はありませんが、希望すれば作業を行うこともできます。執行猶予の制度はありません。拘留が言い渡される事件は全国で年数件程度です。

 

罰金刑

罰金刑は、1万円以上の金額を国庫に納付させる刑罰です。

罰金刑は、法人に対しても科すことができます。

罰金の多くは略式手続によって科されています。その中でも、道路交通法違反事件が多くを占めており、これは三者即日処理方式(同一庁舎内に警察官、検察官、裁判所の3庁の職員を配し、出頭した被疑者が1日のうちに罰金納付まで完了できる手続)と呼ばれる手続で処理されています。

平成18年の刑法改正により窃盗罪にも罰金刑が追加されました。改正前は窃盗罪には懲役刑しかなかったので、懲役を科すまでもない事案は不起訴とされることがありました。現在は不起訴と懲役の中間にある事案では、罰金刑が科せられるようになっていると思われます。

罰金刑の執行は、検察官の命令により行われます。資力があるのに罰金を支払わない者に対しては強制執行がなされます。資力がない者に対しては、検察官の裁量で、罰金の延納(支払猶予)や分納(分割払)が認められることがあります。しかし、必ずしも延納、分納が認められるわけではなく、罰金を完納できない場合には刑務所内にある労役場に留置されることになります。

罰金には執行猶予の制度がありますが、ほとんど使われていないようです。

罰金刑も刑罰の一つですので、これが科せられると前科一犯となります。

 

科料

科料は、1万円未満の金額を国庫に納付させる刑罰です。

科料が科せられる典型は、軽犯罪法違反の罪です。刑法上は、公然わいせつ罪、わいせつ物頒布等罪、暴行罪、過失傷害罪、侮辱罪等があります。

 

没収

没収は、犯人等から物の所有権を剥奪して国庫に帰属させる刑罰です。

没収の対象となる物は次のようなものです。

没収対象 内容 具体例
組成物件 犯罪の成立に必須の物 偽造文書行使罪の偽造文書
供用物件 犯罪の手段として使用された物等 殺人の凶器、放火のライター
生成物件 犯罪によって生じた物 文書偽造罪の偽造文書
取得物件 犯罪によって得た物 恐喝によって得た誓約書
報酬物件 犯罪の報酬として得た物 共犯者から受け取った金員
対価物件 生成・取得・報酬の対価として得た物 盗んだ現金で買った物

 

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