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【コラム】離婚調停が終了したら、いつまでに離婚裁判を起こすべきか?

2014-07-05

離婚調停が終了後、相当期間が経過した場合にも離婚裁判を提起できるのでしょうか?

本当は明確な答えはありませんが、ずばりいえば、

1年以内ならまず大丈夫

1年半を超えるあたりから微妙

2年を超えると再度の調停が必要なケースが多い

のかなと思います。

前提として、離婚裁判を提起しようとする場合、先に離婚調停を経ている必要があります(家事事件手続法257条)。「裁判の前に調停を置く」という意味で「調停前置主義」と呼ばれています。

どうしてこのような原則が定められているのか?それは、家庭の問題は裁判で争うよりも当事者が話し合って円満に解決した方がよいと考えられているからです。

そこで、協議離婚ができない場合には離婚調停を申し立てることになります。調停がまとまらないと、調停は不成立か取下げによって終了します。ただし、調停が終了しても自動的に裁判に移行するわけではありません。離婚の裁判を開始するには、訴状を裁判所に提出する必要があります。いつ離婚裁判を開始するかは当事者にイニシアティブが与えられているのです。結果、調停が終了してから離婚の裁判を開始するまでの期間は事案ごとに異なります。人によっては事情があって、すぐには裁判ができない場合もあるでしょう。しかし、離婚問題では夫婦が現時点でどのような状態にあるのかが重要です。たとえば、調停時には別居していた夫婦がその後別居を解消することもあり得ます。その場合、婚姻が破綻しているのかどうかは現在の状況を前提に判断しなければなりません。したがって、はじめの調停から相当な期間が経過してしまった場合は改めて調停を行う必要があると考えられています。

では、どの程度の期間が経過したら再度の調停が必要となるのでしょうか。これについては、ケースバイケースで判断されるので明確な答えはありません。あえて言えば、冒頭で述べたとおり、1年以内ならまず大丈夫、1年半を超えるあたりから微妙で、2年を超えると再度の調停が必要なケースが多くなるのではないかと思われます。

ちなみに、調停を前置しないでいきなり離婚訴訟を提起したとしてもペナルティが課せられることはありません。離婚訴訟も当然に却下されるわけではなくて調停に回されることになります(家事事件手続法257条2項)。とはいえ、調停のために費やす労力は相当なものです。精神的にも疲弊するので、できれば1回で済ませたいと思われる方は多いと思います。そうであれば、調停が終了してから1年以内に離婚訴訟を提起することをおすすめします。

 

 

 

 

【コラム】親権の争いでは母親が有利というのは本当か?

2014-06-29

離婚をする夫婦に未成年の子どもがいる場合、親のどちらか一方を親権者に指定しなければなりません。どちらの親も親権を主張して譲らない場合、通常、離婚の裁判で決めることになります。

親権者の指定について争われる場合、「母親が有利というのは本当ですか?」との質問を受けることがあります。

私はこのようなご質問を受けた場合、「母親というだけで有利ということはありませんが、母親が親権者に指定されることが多いと思います。」とお答えしています。じゃあ結局、母親が有利なのか?この謎を解くためには親権者の指定に関する判断基準を知っておく必要があります。

親権者の指定が争われた場合、裁判所はどういう基準を用いて判断を下すのでしょうか?その基準は、「子の利益」だと言われています。子の利益の中で一番重要なのは、子どもが精神的・肉体的に問題なく成長できることです。どちらの親と一緒に暮らした方がすくすく成長できるのか?そのことを諸事情を総合考慮して判断します。こうして諸事情を考えてケースバイケースで判断することになるのですが、諸事情の中でも特に道しるべとなる事情がいくつかあると言われています。

そのひとつが、「母親優先の原則」と言われてきたものです。

これは、特に乳幼児については、母親の存在が不可欠であるとして母親を親権者に指定するべきという考えです。これが本当だとすれば、父親が親権者に指定されることはほとんどないということになりそうです。しかし、心理学的には子どもにとって重要な存在は、「母親としての役割をはたす人間」であって、その役割を果たせるのは生物学上の母親に限らないと考えられています。子どもは、はじめに親としての役割を果たした人に対して愛着を形成します。したがって、育児を積極的に行ってきた父に対して子が愛着を形成していることは充分にあり得ることです。そこで、最近では生物学上の母親を優先するのではなく、母性的な役割を果たす者との関係を重視すべきであるといわれるようになりました。そのため、「母親優先の原則」ではなく「母性優先の原則」と呼ばれるようになってきました。なお、心理学上、親から子に対する情緒的な結びつきを「絆」といい、子から親に対する情緒的な結びつきを「愛着」と呼ぶようです。

また、「監護の継続性」という基準も重要です。

これは、子にとっては、親と子の精神的な結びつき(絆と愛着)が重要であるから、このような結びつきを断絶させるような監護者の変更はするべきではないという考え方です。したがって、夫婦が別居した後、幼い子が片方の親に継続的に監護されており、親子間に絆と愛着が形成されている場合、そのままの状態を維持するように親権者の指定を行うべきということになります。

ほかにもいくつか指標とされている基準がありますが、乳幼児の親権者指定の問題では、「母性優先の原則」と「監護の継続性」が重要な指標となるのは間違いありません。そこで、父親と母親のどちらが母性的な役割を果たしてきたのか(母性優先の原則)、父親と母親のどちらが子の監護を継続しているのか(監護の継続性)が問題になります。事案によっては、そのいずれもが父親であるということもあり得ます。したがって、「親権の争いでは母親が有利というのは本当か?」という問いに対しては、「母親というだけで有利ということはありません。」とお答えすることになります。ただし、女性の社会進出が進み男性の育児参加が珍しくなくなった現在でも、なお母親が子にとって第一の養育者であることが多いと思います。その場合、やはり母親が継続的に監護を続けていることが多いと思います。そのため、結果的に母親を親権者として指定すべき事案が多くなります。したがって、「母親が親権者として指定されることが多いと思います。」という回答になります。

以上に述べたことは、あくまで一般的な話です。事案の内容は千差万別であって、簡単に結論がでるようなものはほとんどありません。お悩みの際は、家事事件に熱心に取り組んでいる弁護士に相談するのがよいでしょう。親権者の指定は、子どもの人生にとってとても重要な問題です。子どもはまだ自分で自分の人生を選ぶ準備ができていません。そのため、子の利益を第一に考えて親権者を指定しなければなりません。父親は、「親権を争ってもどうせ母親には勝てない。」と早々に親権を放棄すべきではありません。父親も母親も、離婚する前にどちらが子の親権者となるのがよいのか真剣に考えてみるべきです。できれば、夫婦でよく話し合うべきでしょう。

私は、時には父親から相談を受けたり、母親から相談を受けたりします。通常の案件ではいつも依頼者の利益を第一に考えるのですが、離婚事件、特に親権者の指定が関連する場合は、どうしてもお子さんの将来のことを考えてしまいます。依頼者様の意向を尊重するのは当然ですが、お子様たちの幸せに少しでも貢献したいという気持ちで取り組んでいます。

【コラム】ワールドカップに特措法が定められていたのを御存知ですか。

2014-06-27

ブラジルワールドカップもそろそろ予選が終わりそうですね。

しばらくサッカーを見ていなかったのですが、今大会の日本の代表選手には海外で活躍している選手がたくさんいて頼もしく感じられました。

ただ、睡眠不足を覚悟でテレビ観戦したコロンビア戦で予選敗退が決まってしまって寂しいです。決勝ラウンドでの勇姿を見たかった。コロンビア戦は、勝利への意思がはっきりと見て取れて前半は期待が膨らみましたが、終わってみると気持ちよいくらい完敗でしたね。この悔しさを糧に次に繋げたいところです。

今大会、私が注目している選手はメッシとネイマールです。というか普通、サッカーを見ている人は誰でも注目しているスーパースターですよね。この2選手のプレーを見ていると、とにかく、速くて、うまくて、ついていけない、という感じがしました。言い古された表現ですが、来ると分かっていても止められないといったところでしょうか。もどかしく感じることが多いサッカーの試合にあって、この二人は圧倒的で爽快な瞬間を見せてくれます。だからスター選手と呼ばれるのですね。

とここで、少し法律のお話しをすると、2002年の日韓共同開催のワールドカップに関連してある特別措置法が制定されていることに気付きました。その名も「平成14年ワールドカップサッカー大会特別措置法」(平成10年5月27日公布)というものです。特別措置法というと、テロ対策特別措置法のように厳めしいイメージがあるので、ワールドカップと特別措置法ってどこか不思議な組合せです。立法技術的には特措法となるのが自然なのでしょうが。。この法律は、わずか4条から成り立っていて、ワールドカップサッカー大会組織委委員会への寄付目的で寄付金付郵便葉書を発行できることや、国際サッカー連盟から支払われる報酬(大会の試合の審判員の報酬など)を非課税とすることを定めています。この法律以外にもワールドカップのために整備された法令はあるのかもしれませんが、偶然見つけたので紹介させていただきました。

 

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