【コラム】熟年離婚の注意点

熟年離婚とは

熟年離婚とは、長い婚姻期間を経て離婚することをいいます。長い婚姻期間とは、だいたい婚姻20年以上を経た場合をいいます。このような熟年離婚は増加の傾向にあるようです。今回は、熟年離婚をする上で知っておくべき法律知識についてご説明いたします。

 

熟年離婚の理由・原因

熟年離婚の理由・原因は、さまざまですが中でも以下のような理由が多いのではないでしょうか。

  1. 性格・価値観の不一致
  2. 会話がない
  3. 長年にわたる侮辱
  4. 家事や介護に疲れた

 

法律上の離婚原因になるのか

熟年離婚であってもまずは、夫婦で話し合いをして合意ができれば、離婚届を作成して市役所に届け出ることで離婚が成立します(協議離婚)。この場合、離婚の原因が何であるかは問題になりません。しかし、協議離婚が成立しないと調停離婚を試みることになりますが、これも不成立となると裁判離婚によって強制的な離婚の成立を目指します。しかし、裁判離婚が認められるのは法律が定めている離婚原因が存在する場合に限られます。上記のような事情は、法律が定める離婚原因のうち「婚姻を継続しがたい重大な事由」への該当性が問題となります。上記は、いずれも主観的な評価が入りやすい事情であるため、客観的な証拠なしに一方の意見がそのまま採用される可能性は高くありません。また、程度としても、少しくらいの価値観の不一致では不十分と判断されることが多いのが実情です。これに対して、暴力、浪費、浮気等の外形的な事実・証拠があれば離婚原因の立証は比較的容易ですが、上記のような理由であることが多い熟年離婚では一般的に離婚原因を立証することに困難が伴うケースがあります。しかし、事案によっては、有力な証拠が存在する場合もありますし、丹念に主張・立証することで離婚原因が認められることは十分あり得ます。

 

大切なお金の問題

熟年離婚では、当事者は、「定年まであと数年」とか、「すでに定年して年金暮らし」というケースが想定されます。比較的若年で離婚したような場合であれば、自らが働いたり、再婚したりして自信の財産を築き直すことが可能ですが、熟年離婚の場合、そうした時間も機会も限られているのが一般的です。したがって、熟年離婚では、財産分与をはじめとした、すでに形成された資産の分配を受けることが非常に重要です。

 

財産分与

お金や資産の管理の方法はいろいろありますが、たとえば、貯金はすべて片方(夫名義又は妻名義)の口座に集約し、他方には全く貯金がないということはよくある話です。婚姻期間中に形成された夫名義又は妻名義の財産は、基本的に夫婦が共同で形成した実質的な共有財産とみるべきでしょう。そこで、離婚の際には財産分与といって、基本的に2分の1の割合で財産を分けるということが行われます。財産分与の対象となる資産は預貯金だけではなく、下記のとおり様々な資産が対象となります。それぞれについて、評価の方法など複雑な論点があるので財産分与が問題になりそうなら弁護士に相談するべきでしょう。特に熟年離婚の場合、退職金が高額になるケースがあるのでこれを対象に含めるかどうかによって分与額が大きく異なることがあります。財産分与は離婚から2年以内に請求しなければなりません。すでに離婚したという方は時期に注意してください。

  1. 不動産
  2. 預貯金
  3. 保険の解返戻金
  4. 株式
  5. 退職金

 

年金分割

熟年離婚では、婚姻期間が長期間に及んでいるため、年金分割の金額も大きくなる傾向にあります。年金分割は、条件を満たしていれば確実に得るとができるものなので分割によって年金額が増える側は分割請求することを忘れないように注意が必要です。離婚から2年を経過すると分割請求が制度上不可能となるので時期にも注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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