慰謝料請求を弁護士に依頼した方が良い理由

1     相手方と直接交渉しなくてよい

弁護士に慰謝料請求を依頼するメリットの一つ目は、自分が直接相手方と交渉をしないで済むということです。

自分で慰謝料請求をする場合、相手と直接連絡を取ったりすることはとてもストレスなことだと思います。

相手が素直に不貞を認めて謝罪の態度を示してくれるのであればまだストレスは少なくて済むかもしれません。しかし、中には、不貞を認めようとしない人、責任転嫁ばかりで話が前に進まない人、連絡を取れないように逃げ回る人、自分に非はないと開き直る人がいます。このように相手のキャラクターやリアクションはまさに千差万別であり、そうした相手と直接連絡を取ることで、二次的な被害を受けることもあります。

そのうち交渉することに嫌気がさしてしまい、慰謝料請求を諦めたくなることもあるでしょう。

弁護士に依頼すればこうしたストレスを最小限に抑えることができます。

 

2      法律に則った主張ができる

弁護士に慰謝料請求を依頼するメリットの二つ目は、法律や裁判例を根拠とした説得的な要求ができることです。

不貞慰謝料を請求した場合、相手方からいろいろな反論や弁解が述べられることがあります。たとえば、慰謝料の金額が高すぎるとか、自分は交際相手が既婚者だと知らなかったとか、交際相手に騙されていたから自分に非はないとか、夫婦関係が破綻していたから慰謝料支払義務はないといった類いのことです。

これに対して、自分で再反論をする場合、それは道徳や価値観に基づく主張になりがちです。そうすると、議論がぼやけたり、平行線をたどったりすることになります。

そうならないためには、自分の言い分がいかに法律的な根拠に基づいているのか、相手の言い分がいかに法律的な根拠のないものなのかを積極的に主張することが必要です。

そのためには、民法や裁判手続などの法律知識に精通し、不貞慰謝料請求に関する豊富な経験を有する弁護士に依頼するのが最適です。

 

3      シームレスなリーガルサービス

弁護士に慰謝料請求を依頼するメリットの三つ目は、法律上の様々なサービスをシームレスに受けることができるということです。

弁護士に依頼することで、もし示談交渉が決裂したとしても、すぐに民事調停や民事裁判を起こすことができます。民事裁判で勝訴した後に強制執行が必要になった場合も続けて弁護士にこれを代理してもらうことも可能です。

不貞慰謝料請求を考えている方の中には浮気に及んだ配偶者との離婚を考えている人も少なくないと思われます。不貞慰謝料請求の取扱が豊富な弁護士は、通常、離婚事件にも精通しているはずです。したがって、不貞慰謝料請求を弁護士に依頼することで、離婚に関する親権、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割といった様々な法律問題に関しても一体となったサービスの提供を受けることが可能になるというメリットがあります。

 

4      弁護士、司法書士、行政書士の違い

不貞慰謝料請求に関する法律事務に関して、弁護士、司法書士、行政書士の3者の違いはどこにあるのでしょうか。

その一番の違いは、3者が業として取り扱える事件の範囲にあります。

第一に、示談交渉を代理できるかどうかに違いがあります。

慰謝料請求の示談交渉を行えるのは弁護士と司法書士(※)だけであり、行政書士がこれを行うことは弁護士法72条に違反します。

※ただし、法務大臣が簡裁訴訟代理等関連業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者(認定司法書士)である必要がある。

第二に、示談交渉で扱える慰謝料の金額に違いがあります。

司法書士(認定司法書士)が示談交渉できるのは140万円を超えない請求に限られますが、弁護士にはこのような制限がありません。もし140万円を超える慰謝料請求を任せたいのであれば、弁護士に依頼する必要があります。

第三に、配偶者との離婚を考えている場合に、離婚に関する交渉、調停、裁判を代理できるのは弁護士だけです。

第四に、刑事弁護を業務として行えるのは弁護士だけです。不貞慰謝料に刑事に関する専門性は関係ないと思われるかもしれません。しかし、金銭請求に伴い脅迫、恐喝、名誉毀損が問題になることは少なくありません。刑事的なトラブル回避のためには弁護士への依頼が最適です。

このように弁護士にしかできない業務が存在するため、司法書士や行政書士に依頼をした場合、事案の流れによっては途中で弁護士にバトンタッチせざるを得ないことが出てきます。

したがって、当初から一貫して計画的に案件を進めるためには、はじめから弁護士に依頼するのが最適だと考えます。

 

<弁護士、司法書士、行政書士の違い>

法律職

示談交渉

慰謝料の金額

離婚の争い

刑事事件

弁 護 士

扱い可能

制限なし

扱い可能

扱い可能

司法書士 ※

扱い可能

140万円まで

扱い不可

扱い不可

行政書士

扱い不可

扱い不可

扱い不可

※ただし、示談交渉を行うには認定司法書士であることが必要です。

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