不貞慰謝料を請求する場合の一般的な流れは次のようになります。
このページの目次
1 不貞の疑いが発生
不貞の疑惑が生じた場合、もし慰謝料を確実に回収したいと思うのであれば、浮気をしている配偶者(夫・妻)に対して、疑いを抱いていることを知らせない方がよいでしょう。その方が配偶者を警戒させずに調査や証拠の収集ができるからです。
2 弁護士へ相談
浮気の疑いがどの程度強いのかにもよりますが、この段階で弁護士に相談するのがよいと思います。この段階では、一般的なアドバイスが多くなると思いますが、それでも参考になることはあると思います。
3 不貞の調査
不貞が事実であるかどうかの調査を実施します。不貞の事実を調査するのは弁護士の専門ではありません。御自分で調査を実施する場合はプライバシー侵害などの違法行為を行わないように注意が必要です。
この段階で探偵事務所に依頼するのも一つの選択肢ではありますが、多額の費用を要することもあるので、費用対効果を充分に検討するべきでしょう。
4 不貞の発覚
事前に不貞の疑いを抱いていたが、それが確信に変わったという場合もあれば、偶然発覚したという場合もあるでしょう。偶然発覚したという場合は、この段階で弁護士に相談するのがよいと思います。
まだ、自分が相手の浮気に気がついたことを相手に知られていないのであれば、とりあえずは相手に伝えない方がよいと思います。
5 弁護士へ依頼
慰謝料請求をするのであればこの段階で依頼することになるのが一般的です。
6 証拠の収集・保全
依頼を受けた弁護士は、それまでに明らかになった事実や収集できた証拠を前提に事案を分析します。そして、不足している事実の確認や証拠があれば、改めて確認、収集を行うことになります。
浮気相手の氏名や住所が分からない場合、弁護士会照会制度等を用いてこれらを調査できこともあります。
7 示談交渉の開始(受任通知の発送)
通常は弁護士名で作成した受任通知を慰謝料請求の相手に発送します。これによって示談交渉が開始されます。
8 示談交渉
交渉の窓口は弁護士に限定するのが通常です。相手方に弁護士が就いた場合は、弁護士同士が連絡を取り合って交渉を進めます。お互いに金額その他の条件に関する要望を伝えて合意による解決が可能か模索します。
9 示談書の作成
合意による解決が可能になった場合、示談書を作成するのが通常です。場合によっては、強制執行に備えるために公正証書を作成することもあります。
10 慰謝料の支払を受ける
示談書に記載された支払期限までに慰謝料の支払いを受けることになります。弁護士に依頼している場合は、弁護士の預り専用口座を入金先に指定するのが通常です。
11 民事裁判の提起
示談交渉が決裂した場合、慰謝料の支払いを求めるのであれば通常は、民事裁判を提起することになります。民事裁判を提起する代わりに民事調停を申し立てるという選択肢もあります。
12 裁判上の和解による終了
民事裁判は、判決に至る前に和解で終了することもあります。和解が成立する場合は和解調書が作成されます。これは示談書と同じように合意の内容を記した書面です。
13 第1審判決による終了
民事裁判が和解で終了しなかった場合、第1審判決が下されることになります。第1審判決に対して当事者双方が控訴しなければ、判決が確定します。
14 控訴提起
第1審判決に対して当事者のいずれかが控訴を提起すれば、第2審(控訴審)が開始されます。第2審も和解で終了することがありますが、そうでない場合は第2審判決が下されます。
15 判決に基づく支払
判決が確定した後、任意に相手が支払えばそれで事案は終了します。任意に支払いがなされない場合、強制執行を申し立てて相手の預金や給料債権を差し押さえたりして、そこから回収を図ることになります。